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【編纂】

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写真: 【編纂】

写真: <風間志帆>

抱きし『砌』暴き
剔抉なす事に
一体、何の『益』が
あろうというのか?
此の己の総てすら
見渡すに儘ならぬ
愚かなる身に。

そんな想いに駆られ乍らも
机に向かい長き夜を潜り抜け
疲れと痛みに居たたまれず
露台へと繰り出した。

其処には西方の山へ
横たわった雲の峰々に
刻々と傾き沈む、
時満ちた緋の月。
我、目を奪われ
唯言葉無く眺める。


言葉無き僅かな時至り
やがて空に還るは
変哲無き何時もの綾…

其の美しき移り変わる一刻を
細やかな言の葉に映す為、
我語る『偶然』という
名も無き者の声は
確かに我が名を喚んだのだ。

ふとそんな事を考える。


ならばそっと今は亡き
遺された思い出を
両の掌で包み込み
僕の胸に刻み、
心の臓の鼓動に乗せ
風無き夏の夜の言の葉に孵し、
恍惚と失望の狭間に
僕の出来る限りで
貴き御方に還そう。


天と、地と、
生と、死を。
そして、
そのふたつを分かつものを。

【編纂】 http://twitter.com/myproud_0117

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